家族が亡くなってしまったらどうすればいいの?遺言書がない場合のはじめての相続。

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家族が亡くなってしまったらどうすればいいの?遺言書がない場合のはじめての相続。

家族が亡くなってしまったらどうすればよいのでしょうか。
法律は、家族が亡くなった場合、直ちに相続が開始される旨を定めています。
何も手続きなどをせずに、相続を行う事はできません。
この記事では、遺言書がなかった場合に、どのように相続を行うのかについて解説します。

■被相続人の死亡届の提出

被相続人が亡くなったことを知った日から7日以内に、死亡届を市役所・区役所に提出します(戸籍法86条1項)。

死亡届の提出義務を負うものは、①同居の親族、②その他の同居者、③家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人です。同居の親族がいる場合には、まず同居の親族が死亡届の提出義務を負います(戸籍法87条1項)。
また、死亡届は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、提出することが可能です(戸籍法87条2項)。
死亡届は、原則として亡くなった場所の市役所、区役所または町村役場に提出します(戸籍法88条1項)。
本籍地や届出人の所在地にある市役所、区役所または町村役場でも可能です。

■葬式の準備・実施

亡くなった方の葬儀を行うため、準備などを行います。
葬式を行う上で支出した費用については、領収書をちゃんと整理・保管しておきましょう。
後で、葬式費用は相続財産から控除することによって、相続税の節税などが可能です。

■相続人の確認

亡くなった方の財産を相続する人(相続人)が誰かを確認します。

相続人に、例えば、家庭の外で愛人と子を作っていたり、前婚の人との間に子供がいた場合、養子縁組している場合などは、その子も相続人になります。
ドラマなどでは、隠し子などとして問題になりますが、法律上も相続の対象として問題になるため、他に子がいないかを証明する資料が必要となります。

この資料として、被相続人及び相続人の本籍地から戸籍謄本(戸籍全部事項証明)等を発行してもらい、確認することになります。

■遺産となる財産や債務を大まかに調査する

相続放棄や限定承認をするかの判断材料にするために、自分は相続人になることができるのか、相続人である場合には相続する割合はどれくらいか(法定相続分)、どのような財産を相続するのかなどを確認しておきます。

相続によって引き継ぐ財産は「一切の権利義務」です。
現金や銀行口座、土地や建物などの不動産、売掛債権のような債権や、借金などの債務なども「一切の権利義務」に含みます。

現金や不動産よりも借金などの方が額が大きい場合、相続を行うことによって、自分の財産が減ってしまうこともあります。
これ以降どのように行動するかの指針として、この調査は重要です。

■相続放棄・限定承認

相続は、何も手続きをしていないと、被相続人の財産全部を相続人全員で引き継ぐ(単純承認)ことになります(民法921条2号)。

相続には、単純承認だけではなく、他に2つの相続方法があります。
・被相続人の遺産にあるプラスの財産(預貯金や不動産)の合計の範囲内でのみ、マイナスの財産(借金など)を相続することにより、相続によってトータルとしてマイナスになることを防ぐ「限定承認」(民法922条)
・そもそも最初から相続人でなかったことにしてしまう「相続放棄」(民法939条)など、様々な方法があります。

相続放棄や限定承認を行うためには、相続開始があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で申述する手続きをしなければなりません(民法915条)。
特に、限定承認を行うに当たっては、財産についての資料を集めなければならないため、事前の準備が必要になります。

■所得税の申告と納付

相続人の死亡日までの所得を税務署に申告します(所得税法124条・125条)。
この申告と納付は、4ヶ月以内に行わなければなりません。

■遺産分割協議

遺言がないため、相続人が複数人いる場合には、どのように財産を分配するかを相続人全員で決めなければなりません。これを遺産分割協議といいます。
どの財産をどの相続人が引き継ぐか、相続人の全員の合意で決定します。

遺産分割協議が無事に調った場合には、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書の作成には、全員の実印及び印鑑証明書が必要です。

■相続税の申告と納付

相続人の義務として、相続税の納付と申告が必要です(相続税法27条)。
相続税の申告と納付は、原則、被相続人が亡くなったときから10ヶ月以内に行う必要があります。

■登記手続

不動産などの登記を名義変更する必要があります。
不動産を遺産分割協議によって相続した場合には、遺産分割協議書、被相続人の戸籍全部事項証明書、相続人全員の戸籍全部事項証明書、相続人の印鑑証明書などが必要になります。

いかがだったでしょうか。
遺言がない場合には、遺産分割を1から相続人全員で決めなければならないため、話し合いが難航することがあります。
それぞれの手続には一定の期限があるため、話し合いが上手く行かずにデッドロック状態になってしまった場合には、早めに弁護士などに相談すると良いでしょう。

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