資産づくりの基礎と資産運用の中でできる節税

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資産づくりの基礎と資産運用の中でできる節税

資産づくりを成功させる基礎知識

資産づくりって何をすることなの?

資産づくりを考える場合、多くの人は投資を思い浮かべることでしょう。

株式投資、投資信託、不動産投資、仮想通貨・・・・・・。

いまある現金を元手にいま以上に「増やす方法」を考えるはずです。

投資した金額以上にリターンがあれば、大きなプラスとなり、資産づくりに大きく貢献します。いわば、「責める資産づくり」です。

ただし、資産づくりとは「責める」だけが術ではありません。むしろ資産づくりに成功している人ほど、「攻め」より「守り」、すなわち「減らさないこと」を重視しています。

投資の場合、市場の動きや経済政策の変更など、複雑な要因が絡み合います。

どうなるか先が予測できないなかで、つねにリターンを生み続けるのは難しく、昨日は大きくプラスだったものが、翌日にはマイナスに転じることも珍しくなく、株価の予測はプロでも難しいさえといわれています。

そこで、発想の転換が必要となります。

資産づくりに不可欠な3つの観点

①稼ぐ
②減らさない
③再投資する

①「稼ぐ」とは、リスクを覚悟でリターンを得ようとする「攻め」中心の考え方です。
②「減らさない」とは、ムダな支出を減らす「守り」中心の考え方です。
③「再投資する」とは、①稼ぎ、②減らさない ことで得た利益を再投資する考え方です。

このような考え方をすることで、順調なときは積極的に投資をして資産を増やし、不調なときはムダを減らして蓄えた資産で乗り切り、その後再び投資によって資産を増やす、という好循環を実現することができるのです。

最重要は「減らさない」こと

「予測できない」はリスクである

資産の枯渇を防ぐために最も重要なのは「減らさない」工夫です。

節税とは、当初把握していた特定のルールによって算出された税額を、特例や判例を元にした別の税法上の解釈を取り入れることで支払う金額を抑える行為です。

長期的に考えれば、節税は資産形成において非常にプラスの効果があるでしょう。

投資に関する有名な話の例として、「籠の中の卵」があります。

1つの過誤にすべての卵を入れてしまうと、何か不測の事態があったときに、すべてが割れてしまう可能性がある。万が一を回避するためには、卵をいくつかの籠に分けておくと、リスクを分散できるという話です。

これは本来、リスクヘッジの例として語られますが、話の本質は自分でリスクをコントロールできるというところにあります。

つまり、資産づくりを成功させるうえでは、不測の事態があったときに大きな損失を被るおそれのあるイチかバチかの投資ではなくて、「確実にできること」、つまり「コントロールできること」を行うのが重要なのです。

自分に合った節税策を見つける

効果が最大化できる方法を選べ

資産づくりを成功させるうえで「減らさない」節税がどれほど重要かはわかってもらえたでしょう。それと同時に、「具体的にどうしたらいいのか」と節税策についての疑問が浮かんだのではないでしょうか。

ひと口に節税といっても多くの方法がありますが、実際にどんな節税対策があって、それをどのように実行すればいいのかわからない方も多いと思います。

もちろん、個人の立場、会社の立場、置かれた状況によって対応も変わってきます。

節税対策のイロハを理解するためには、その前提である「税金」についても知っておかなければなりません。

まずは税金の種類を知り、どのような場合に、どんな節税策を講じればいいのかを把握する必要があります。そして、どの節税策を選べば節税効果を最大化できるのかを比較検討していくことで、うまくいけば数百万円の差が生じるケースもあります。

個人にかかる主な税金とは?

「知らなかった」をなくそう

まずは個人で節税できる税金の種類を確認しましょう。

きちんと把握しているつもりでも、実は見落としや誤解が生じていて、もっと節税できたのにという場合もあります。

【個人にかかる主な税金】

・所得税(および復興特別所得税)
・住民税
・相続税
・贈与税
・不動産の取得や保育、譲渡にかかる税金

いかがでしょうか。

この税金については節税対策を講じているけど、こっちは何もやっていなかった、などとバラツキがあったりしないでしょうか。

支払う金額を少しでも減らせれば、お金回りにも余裕が出てくるはずです。

「この節税策は既にやっているな」「こんな節税策もあったんだ」とご自身の節税状況を再確認する意味で、それぞれの方法をみていきましょう。

資産運用の中でできる節税

資産運用時の節税策を考えよう

「減らさない」節税策についてお話する前に、まずは資産を「増やす」方法についてご紹介しておきましょう。

というのも、本書をお読みの方で、とくに資産家と言われる方々は、先祖代々の土地を引き継いでいたり、資産形成の一つとして何かしらの不動産を所有していたりするケースが多いからです。

そこで本記事では、先に資産家の方が資産運用している段階での節税策からご説明したいと思います。

これからの時代は3つの考え方が大事

・「長期保有でインカムゲインを目的とした投資」
・「短期間の保有でキャピタルゲインを目的とする投資」
・「いつでも資産化できる不動産として所有する」

これまでは資産確保のために、やむを得ず不動産売却をするという選択がありました。

しかし税制改正で小規模宅地等の要件が変わったため、これからは3つの考え方が重要になってきます。

所有不動産を見直してみよう

まず大事なのが、不動産の個別キャッシュフローを把握し、それを高める努力をしておくことです。

個々の不動産が年間どれくらいのキャッシュを生み出しているのかチェックし、納税資金が確保できるか確認します。もし、納税資金がショートしてしまうようであれば、納税のために売却してもよい不動産を選定し、いつでも売りに出せるよう権利関係などに不備がないよう整理しておくことが重要です。

隣地との境界を確定させたり、賃貸物件であれば賃貸契約書の不備をなくしたり、修繕を施したり、空室を減らしておかなければなりません。

収益性を高められるか検討する

不動産の活用も大事です。

地価の下落は土地の財産価値を目減りさせます。それゆえ土地を所有するときは、何かしらの対応策をとらなければ、土地所有者は苦しい立場に追い込まれていく危険性があります。

では、そんな時代の不動産活用の知恵とは何でしょうか。

たとえば、不動産を評価するときは「収益確保」を重視します。

所有不動産は「収益が上がるかどうか」をチェックし、収益性が低ければ、対応策として、賃貸物件を立てたり、収益性が高い土地に買い替えるなどの対策を検討します。

次はそのポイントをチェックしていきましょう。

10%の収入確保をめざそう

課税総資産に対し、10%の収入確保を目標としましょう。

年間収入総額÷課税総資産(評価減を控除後)=10%

基本的には次のように考えます。

①土地の種類分けを行う

・残す土地

・利用する土地

・納税に備える土地

・処分する土地

②利用する土地の活用を徹底検証し、高収入を図る

③処分すると決めた土地は価格下落が先行する前に売却を進める

④好立地の不動産を購入する

⑤高収益不動産への買い換えを行う

手元資金が増えると相続対策の選択肢も増える

不動産を活用して収入を増やすことには、2つの目的があります。

1つは、増える保有コストを補って生活資金を確保すること。もう1つは、手元資金を増やして相続税対策に備えること。

手元資金が増えると、

①物納することに決めた納税予定地を手放さずに済む

②物納後に残った相続税は短期間の延納で納めることができる

③現金があれば、相続人が納得する財産分割がスムーズにできる

④相続対策の選択肢が増える

このような相続対策が可能となるのです。

現状での所有不動産を活用して収入を増やす

では、土地を活用することで投資に見合った収益が確保できるかどうかを確認していきましょう。

①立地調査

まずは立地調査(マーケティング)です。

人の流れや交通量、同業者の配置、駅からの距離、近隣の公共施設・学校、さらに周辺の賃料と同業物件の稼働率などが大事なポイントになります。

不動産の活用を進めるときは、これらの情報を積極的に集め、稼働率を周辺よりあえて低めに設定するなど、慎重に収支予想を立てる必要があります。

②利回りのチェック

また、土地活用の収益性は「投資利回り」によるチェックが不可欠です。

たとえば、賃貸アパートの建設を考える場合、土地の時価が1億円で、建物の建設コストが1億円とすれば、合計投資額は2億円になります。

予想される年間家賃収入を2億円で割ったものが、「表面利回り」(グロス利回り)になりますが、事業の管理運営には必ず経費がかかります。

収入から固定資産税や火災保険料、管理費、借入金返済などを差し引いた収支計算後の「実質利回り」(ネット利回り)が大切な指標になります。

利回りをチェックするときは、マイナス面は大きく見積もり、プラス面は少なく考えるほうがいいでしょう。

表面利回り(グロス利回り)=年間家賃収入÷物件価格

実質利回り(ネット利回り)=(年間家賃収入-必要経費)÷物件価格

③建物の売却価格のチェック

さらにここで忘れてはいけないのは、建設後、いくらで売却できるかを想定しておくこと。

万が一を考慮して資産活用を考えるのがオススメです。

④有効活用の難しい不動産の買い換え

また、有効活用が難しい不動産は整理しておきましょう。

・駅から遠い(徒歩10分以上)

・土地に接する道路が狭い(4m以下)

・地形が悪い(いびつな形)

これらの条件が重なり土地活用が難しい土地は少なくありません。活用が難しい土地をもっていても、先が見えてしまいますし、失敗する可能性が高いのが現実でしょう。

そんなときは、できるだけ駅に近い、道路が広い、地形が言いといった条件を満たし、有効活用できる土地と買い替える方法を検討しましょう。

相続・事業承継コラム