相続財産調査とは?相続財産の内容と専門家!

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相続財産調査とは?相続財産の内容と専門家!

相続が発生して、故人が遺言書を遺していなかった場合は、相続人の間で話し合いをして誰がどの財産をどれだけ相続するか話し合う、遺産分割協議を行う必要があります。
その際、あとから遺産が見つかって遺産分割協議のやり直しとならないように、遺産が全部でどれだけあるかを確定しなければなりません。

また、相続では、被相続人の全ての財産を承継するため、負の財産である借金も相続することになります。個人の借金が多額である場合は、相続した財産と自己の財産を合わせても借金を返済できない場合があります。
そのような場合は、相続放棄や限定承認という方法で負の財産を受け継がないように手続きをしますが、その際も遺産が全部でどれだけあるかを確定しておかねば、正しい判断はできません。

また、相続税申告の判断をする際や、相続税を申告する際にも、遺産が判明していなければなりません。

そこで、遺産が全部でどれだけあるか確認するために、相続財産調査を行う必要があります。
相続財産調査とは、遺産(プラス財産もマイナス財産も含む)の有無を調査することと、遺産を評価することをいいます。

■相続財産の内容

動産
・預貯金
・自動車
・宝石、貴金属
・家財
・絵画、書画、骨董品等の美術品

不動産
・自宅、建物
・借家権
・借地権
・土地

債権・有価証券等
・貸付金
・株式・FX・仮想通貨
・国債

マイナス財産
・借金
・住宅ローン、奨学金ローン等
・未払いの税金

■相続財産調査の方法

・預貯金
通帳やキャッシュカード、銀行からの郵便物などから、預貯金を預けている金融機関を調査します。
銀行では、その銀行の全ての支店に口座がないか照会できる「全店照会」を利用することができます。

・不動産
家にある権利証や固定資産税課税通知書、市町村役場で申請できる固定資産台帳(名寄帳、資産明細とも)から確認します。
非課税かつ書類もない不動産の場合は、調査が困難になることがあります。

・債権、有価証券等
株式やFX、仮想通貨や国債等に関する書類やメールがないか、探します。
銀行や証券会社の金融商品を保有している場合、運用報告書等が届いていることもあるので、確認します。
書類やメールから口座のある証券会社やFX会社がわかれば、その会社に依頼をして取引残高報告書を発行してもらいます。

・マイナス財産
家に金融機関からの督促状や返済の明細書、消費者金融のキャッシュカードがないか調査します。
借り入れがあれば、各信用情報機関に被相続人の情報が登録されます。調査をする方法としては、各信用情報機関に対して被相続人の信用情報の情報開示を求めて、過去のローンやキャッシングの契約等を把握するという方法があります。
債務整理をしていた場合、弁護士や司法書士が作成した委任状や返済計画が残されている場合があります。

■相続財産の評価方法

相続財産が全部でどれだけあるかが調査できたら、次は各相続財産をいくらとして計算するのか、評価する段階に移ります。

相続税申告の際は、相続税評価額を参考に評価します。

遺産分割を行う際の財産の評価は、相続人全員が納得しているなら、いくらであっても構いません。
不動産では、固定資産税評価額、路線価、時価などの評価方法があります。

不動産は特に個別性が非常に強く、様々な要因によって価格が変動するため、評価額を一律に定めることはできません。
したがって、不動産の評価額は、最終的には相続人間での話し合いと、相続人全員が納得することが重要だといえます。

■相続財産調査は3ヶ月以内に

以上の相続財産調査は、原則として3ヶ月以内に終わらせる必要があります。
相続放棄や限定承認の申し立ては、被相続人が亡くなった日から3ヶ月以内と定められています。マイナスの財産が多額であるために、相続放棄や限定承認を用いて相続をしないことを決める場合、3ヶ月以内に判断しなければならないということであり、その判断のためには、全部で遺産がどれだけあるか知っていなければならないからです。

■相続財産調査の専門家

相続財産調査は、ご自身で行うことも可能ですが、以上のように非常に手間と時間がかかります。
親子が離れて暮らしている場合などは、個人の財産状況を相続人が把握できていないことも少なくありません。

そこで、専門家に依頼することが考えられますが、専門家といえど、一括で全ての相続財産がわかるシステムを有するわけではありません。
基本的には、残された手がかりからある程度財産を特定した上で、各機関に対して財産内容を明らかにする資料を発行してもらう作業を行います。

相続財産調査を依頼できる専門家は、主に弁護士、行政書士、司法書士です。

弁護士に相談した場合、弁護士会を通じて金融機関や行政機関等に対して情報開示を求める「弁護士会照会」(23条照会)が可能なので、自分で調査するよりも詳細な調査が可能になります。
また、弁護士は制限なく法的なサービスを提供できるため、相続財産調査に限らず、調停や裁判に発展した場合までサポートできるのが強みだといえます。

相続財産調査は非常に煩雑な手続きですが、相続放棄や限定承認のためには3ヶ月以内に、相続税申告のためには10ヶ月以内に、原則としては終了させることが望ましいものです。

限られた時間の中で、被相続人が他界してから息をつく間もなく様々な相続手続きをしなければならないため、専門家に相続財産調査等を依頼して、相続人の負担を減らすことも一つの手段だといえます。

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