生前贈与のメリット。生前贈与にはどのようなメリットがあるの?

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生前贈与のメリット。生前贈与にはどのようなメリットがあるの?

相続税の節税対策として、生前贈与を考える方も少なくないでしょう。
生前贈与を行なった場合に、どのようなメリットがあるのかご説明します。

■節税効果(暦年贈与を活用)

一般的に、贈与税の方が相続税よりも課税率が高くなっています。
しかし、「暦年贈与」という、受け取る人が1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額が110万円を超えなかった場合、贈与税が発生しない制度があります。

暦年贈与は、生前贈与の基本的な形式です。この制度を活用すれば、贈与した人数×110万円×贈与した年数分、無課税で贈与することができます。
子や孫に財産を遺しながら、相続税の課税対象となる財産を減らすことで、相続税を抑えることができます。

ただし、相続発生前の3年間の贈与については、「生前贈与加算」といって、相続時の財産として相続税の対象となってしまうことに注意が必要です。

暦年贈与を行う際は、特別な手続きを行う必要はなく、誰でも簡単に行うことができます。
ただし、生前贈与を税務署に否認されて、相続財産として贈与額に対して相続税が課税されてしまうリスクがあります。そこで、生前贈与があったことを証明する証拠を残すことが重要です。
証拠を残す方法として、現金の手渡しではなく銀行振込みなどで記録を残しておくことや、贈与の都度、贈与契約書を作成することが考えられます。

■節税効果(教育資金一括贈与特例を活用)

暦年贈与では、贈与は年間110万円までしか非課税になりません。しかし、贈与された財産が教育目的に限定されるのであれば、祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(教育資金一括贈与特例)を活用することで、多くの財産を非課税で贈与することが可能です。

教育資金一括贈与特例とは、祖父母などから教育資金として金銭等の贈与があった場合、受贈者一人につき1,500万円までの金額に相当する部分については、金融機関等の営業所などを経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、贈与税が非課税になる制度のことをいいます。

本制度は、2013年4月1日から2021年3月31日までの間の贈与に適用されます。

教育資金とは具体的には何なのか、ご説明いたします。

一つには、学校教育法で定められた「学校等」に対して支払われる金銭があります。「学校等」とは、幼稚園や認定こども園または保育所等、小・中学校、高等学校、大学、大学院、外国の教育施設等が該当します。これらの教育施設へ支払う入学金や、授業料、施設設備費、検定料等の金銭が対象になります。

もう一つには、学校等以外に対して直接支払われる金銭のうち、教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるものがあります。例えば、学習塾等の外部教育機関に支払う授業料や、スポーツ(水泳、野球など)、または文化芸術(ピアノ、絵画など)に関する活動、その他教養の向上のための活動に係る指導への対価や、これらに使用する物品の購入に要する金銭などが、教育資金の対象に含まれます。

■節税効果(住宅取得資金贈与を活用)

住宅取得資金贈与とは、自分が住むための家屋を取得、新築、増改築等をする代金に、父母または祖父母から贈与された金銭をあてる場合において、一定の要件を満たすときには、規定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる特例です。

本制度は、2015年1月1日から2021年12月31日までの間の贈与に適用されます。

この制度には様々な要件があり、全てを満たしていなければ非課税の特例の対象とはなりません。
要件には、受贈者が、贈与を受けた年の1月1日における年齢が20歳以上であること、贈与を受けた年の年分の所得税にかかる合計所得金額が2,000万円以下であること、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された代金額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること、などがあります。

非課税限度額等については細かく定められているため、詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

■節税効果(相続時精算課税制度を活用)

不動産の生前贈与については、相続時精算課税制度を活用すれば、節税効果を見込める場合があります。

相続時精算課税制度とは、 60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子や孫に対して財産を贈与した場合に、受け取った額の合計2,500万円までは贈与税が非課税になる制度です。
相続発生時、すなわち贈与した人が亡くなったときに、贈与額の合計を子供の相続財産に加えて相続税を計算します。したがって、税金の支払いを相続発生時に先送りする制度だといえるでしょう。

しかし、単に税金の支払いを先送りにするだけではなく、確実に値上がりが予想される不動産を相続時精算課税制度を利用して生前贈与する場合は、節税対策になることがあります。
というのも、相続時精算課税制度において相続税を算出する際の評価額は、生前贈与時の不動産の価値を基準とします。不動産が値上がりしていた場合、相続時の値上がりした価額よりも低い価額について相続税が課されるため、節税効果が見込めるということです。

また、収益を生む不動産は、贈与せずに相続した場合、毎月得られる収入はそのまま相続財産の増加へとつながり、相続時には収益分についても多額の相続税が課されることになります。
しかし、生前贈与を行えば、不動産から得た収入はそのまま生前贈与を受けた人の収入となるため、相続税を減額することが可能だといえます。

注意が必要なのは、相続時精算課税制度を一度利用すると、「暦年贈与」の非課税枠を二度と利用できなくなる点です。
また、生前贈与の場合には、相続時にかからない「不動産取得税」や、登記の際には相続の5倍の「登録免許税」がかかるなど、コストが発生します。

■特定の相手に特定の財産を確実に受け継ぐことができる

遺言書に不備があれば、故人の希望を相続において反映させることができないことがあります。

しかし、生前贈与を行えば、贈与者が贈与の相手を自由に選択できるため、特定の財産を指名した相手に確実に承継することができることに、大きなメリットがあるといえるでしょう。

生前贈与には、以上のようなメリットがあります。生前贈与に関連した制度は種類が豊富であり、上手く活用すれば、相続税の節税効果を見込むことができます。
しかし、それぞれの制度を利用する際に注意点やデメリットも存在するため、専門家の意見も参考にしつつ、どのような方法で生前贈与を行うか、慎重に検討することが重要だといえます。

相続・事業承継コラム