事業承継には様々な種類がある!事業承継の種類を説明します!

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事業承継には様々な種類がある!事業承継の種類を説明します!

事業承継とは、会社の事業を新たな後継者が承継して引き継ぐことを指します。事業承継は会社の成長や経営状態を存続させるために行われることが多いです。例えば、会社の代表者が高齢となり肉体的に会社事業を行うことが困難となった場合に後継者がいなければ会社は廃業してしまいます。また、同一の経営者が事業を取り仕切ることで経営が行き詰まった場合、後継者による新しい事業を行う方が会社の成長が見込める場合もあります。このような場合に事業承継が行われます。近年では企業の廃業理由として後継者不足が約30%を占めているとの調査結果もあります。

事業承継には主に3つの種類がある!

一類型目:親族内承継

親族内承継は代表者の子供をはじめとした親族を後継者として事業を承継させる方法を言います。親族内承継の場合は、取引先や銀行からも信頼を得やすく、資金提供を受けやすいとも言われています。さらに、親族に承継させることによって財産が消失してしまうことを防止することができる点に親族承継の利点があります。
他方で後継者に経営者としての資質がないと言われる場合に、どのように後継者教育をすべきか。いう点に問題もあります。代表の親族という立場であることから他の従業員が遠慮してしまい、後継者の教育が疎かになってしまうという問題もあります。また、事業承継を受けた承継人と他の親族との間で遺産についてのトラブルが発生してしまう場合もあります。
もっとも近年では子供の職業選択の自由が尊重される時代風潮となったことや社会の価値観が多様化した事に伴い、親族内承継の割合は減少傾向にあります。

親族内承継を円滑にするためには理想的な3つの段階を踏むことが重要です。

まず一つ目は従業員・役員・取引先・銀行等の関係者からの理解を得ることです。
具体的には会社内の会議などで後継者となる親族を検討し、または発表すること、後継者を関係者に紹介すること、後継者の就任後は、代表者は後継者のサポーターとしての役回りをすること等が挙げられます。

二つ目は後継者の適切な教育です。これは会社の存続・発展のために資質ある後継者を育てるという点で重要な段階です。
具体的には会社に従業員として勤務をさせることで、自社の事業内容を把握・理解させる、社内の問題点を意識させることや会社創立の歴史や文化を学ばせることで後継者としての意識を高めさせることなどが挙げられます。
最終段階は株式や財産の分配です。これは相続の際に、後継者以外の他の親族間での紛争を防止するためや税金対策の観点などから必要となります。
具体的には他の相続人の遺留分について調べ、かかる遺留分を考慮した遺産分割を検討することや公正証書遺言によって遺産分割方法を指定すること、被相続人となるであろう会社代表者は後継者と他の相続人が不公平とならないように相続準備を行うこと、事業承継税制や生前贈与制度を利用することで相続税対策を行うことなどが挙げられます。

二類型目:従業員承継

従業員承継とは親族内承継と異なり、会社の従業員や役員を後継者とする方法です。
従業員承継は従業員として会社内で優秀な者や実力のある者を後継者とすることにより会社の経営の発展が期待できるという点や、会社の事業や業界に精通している人材を選ぶことができるため会社の事業の利益拡大の期待ができるという点、長期間勤務していた従業員を後継者とする場合には、現在の経営方針とそれほど大きな変更をせずに引き継ぎを行うことができる点などが利点としてあげられます。

他方で、従業員承継は代表者の親族とのトラブルを避けるために、代表者の親族に後継者としての地位を取得する事について同意を得る事が必要となることが多く、引き継ぎに時間がかかることもあります。また、従業員を後継者とすることで、会社内で後継者争いが発生し、社内で派閥争いが起こってしまう恐れもあります。このような点で従業員承継にはデメリットも存在します。
従業員承継は実力や経営手腕がある者が後継者となるという承継方法であるため中小企業のように実力やリーダーシップを尊重する企業の事業承継の手段として用いられることが多いです。

従業員承継を円滑に行う場合には二つの段階をとることが大切です。

一つ目は事業承継の計画を立てることです。いかに優秀な従業員であっても突然代表者としての手腕を兼ね備えられるわけではありません。そのため、親族内承継と同様にまず関係者からの理解を得た上で、役員等との交流や常務・副社長という立場に段階的に昇格させ、それから経営者としての地位を与えるというステップを辿ることで、経営者としての能力や手腕を身につけさせることができます。

二つ目は後継者の資金を確保することが大切です。従業員承継では後継者が株式を取得できるようにしなければなりません。ですので、経営者は、遺言で後継者に株式取得させることを表示するという対策や相続人の遺留分について考慮した相続準備を行う必要があります。相続人となり得る親族に株式を後継者に遺贈することについて事前に同意を得ておくことが承継後の親族と後継者間の紛争防止のために必要となります。
また、贈与以外の方法で資金調達する方法としては、自社株式を譲渡することも考えられます。この場合、譲渡人である経営者に分割の支払いを行うことで、後継者の資金不足と経営者の退職後資金の減少との調整を図ることができます。

三類型目:M&Aによる事業承継

そもそもM&Aとは、企業を合併したり買収したりすることを言います。狭義の意味でのM&Aは企業合併(吸収合併や新設合併など)や会社や事業の買収(株式譲渡や株式交換など)を意味します。広義の意味では事業の拡大を目的とした資本提携を意味します。
そのため、M&Aによる事業承継とは、株式譲渡や事業譲渡によって会社の事業を承継してもらうという方法を意味します。
近年、M&Aが一般的になってきたことからこれを専門とする仲介人が増えています。そのため、気軽にM&Aを行うことができる風潮にあります。また、親族内承継や従業員承継による後継者が見つからない場合に後継者を確保する手段としても非常に有効な方法です。そのため、近年ではM&Aによる事業承継が増加しています。

M&Aによる事業承継のメリットは上記にも述べたとおりまず、親族内や従業員に適任と言える後継者が存在しない場合に後継者候補を外部に求めることができるという点や買収する側というのは一般的に経済力のある企業であることが多いことから会経営の安定を見込むことができる点、元経営者は会社を売却することによって売却利益を得ることができるという点にメリットがあります。

他方でM&Aによる承継の場合、希望条件の該当する売却先を見つけることが困難な場合や従来の経営と一体性を保つことが難しいといった問題が生じることもあります。そのためM&Aによる事業承継の場合には買収先の企業についての調査・確認を怠らないようにすることが重要です。また、あらかじめ会社の内部統制を適切に構築して企業価値を高めておくことで、内部統制が取れている買収先を見つけることができ、内部統制の取れていない買収先に売却することを回避することができる場合もあります。

以上のように事業承継の種類、方法は主に三類型存在します。どの方法を選択するかは各会社の個別的な事情を総合的に考慮して検討することが大切です。ですから、事業承継前の企業状態と事業承継後の企業状態の予測とを具体的に比較しながら採択しようと考えている事業承継の方法が企業にとって最適であるかを十分に検討することが事業承継を成功させるために重要です。

相続・事業承継コラム