社長個人の自宅・電気代・車の経費計上と消費税の節税対策

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社長個人の自宅・電気代・車の経費計上と消費税の節税対策

自宅の電気代は10~20%を経費計上可能

1日2~3時間の使用で経費扱いに

中小企業や同族会社は、自宅兼事務所として、自宅のパソコンで会社の資料を作成したり、会計ソフトを使用することがあります。

そんなときは自宅の電気代を会社の電気代として計上することができます。

たとえば、1日2~3時間の使用であれば、電気代の10~20%を経費として計上することができます。自宅の電気代がひと月2万円だとして、20%の電気代を計上すると次のとおりです。

●2万円×20%×12ヵ月=4万8000円

この場合、電気代の領収書、または個人名義の銀行口座から引落であれば通帳を5年分保存しておきましょう。

また、領収書か通帳、または帳簿に「×20%」などと計算根拠となるメモ書きもしておくとよいでしょう。

消費税の節税は「2年間」で見極めよ

消費税の節税は「2年間」で判断する

消費税はとても節税が困難な税金です。

というのも、納税者に有利な制度を任意に選択できるよう便宜が図られているからです。また、制度の乱用を防ぐ、あるいは申告・納税手続きを簡素化するという見地から、一度選択した特例は原則として、2年間、継続して適用することが義務づけられています。

そのため消費税の節税については、適用する特例を2年間継続して見て計画的に判断する必要があります。

2年間の継続適用が必要な消費税の特例と、その届出書は次の通りです。

①消費税課税事業者選択届出書

②消費税課税期間特例選択・変更届出書

③消費税簡易課税制度選択届出書

④一括比例配分方式

消費税の還付が見込めるかを見極める

たとえば、免税事業者がまとまった設備投資をする予定があるとします。

このとき、消費税の還付を受ける目的で①の「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合、最初の期の消費税については計画通り還付を受けられたとしても、翌期も課税事業者になるため、多額の仕入税額がない限りは納税する必要があります。

つまり、最初の期における還付金額が翌朝の納付金額を上回らなければ、特例を選択することは消費税の節税にはならないのです。

明らかに得であることが見込まれる場合を除いて、事業計画を慎重に調べ直し、適用される両期の還付金額と納付金額の総額で節税について判断することが大切です。

多額の設備投資をする場合は一般課税のほうが節税できる

建物の取得や多額の設備を購入する場合は、一般課税のほうが節税できます。

「一般課税」では、支払った消費税が多いほど納付税額は少なくなります。

預かった消費税よりも支払った消費税のほうが多い場合には、その差額が還付されます。

これに対して、「簡易課税」では、課税売上にかかる消費税に定められた、みなし仕入率をかけて支払った消費税を概算計算します。

そのため、実際に支払った消費税は納付する消費税額の計算に反映されません。

この場合、一般課税を選択したほうが、有利なケースが多いので注意しましょう。

契約書を交わせば、一定額は経費になる

社長の自宅を会社に貸す契約をする

契約書を作成して毎月一定額を計画的に経費に計上することは、将来的にも大きな節税になります。いくつか具体例を紹介しましょう。

社長の自宅を本店として登記し、実際に、自宅の一部を会社の事業所として使用している場合があります。そのようなときには、賃貸借契約書を作成し、貸主である社長に家賃を支払うことで、毎月一定額を経費に計上できます。

注意しなければいけないのは、社長の自宅が賃貸物件である場合と、持ち家である場合で税法上の取扱いが異なる点です。

【自宅が賃貸の場合】

社長が毎月家賃を支払っている場合、その金額で物件の一部を会社に転貸するという形式になるため、社長の収入として確定申告する必要はありません。

ただし、家主さんによっては転貸を禁止する旨を契約書に明記していることもあるため確認が必要です。

地代家賃として計上する金額は、自宅全体の面積に対して、会社が使用している部屋面積の割合に応じた金額とすれば合理的です。

たとえば、同じ面積の部屋が3部屋で、そのうちの1室を事務所として使用し、毎月の家賃が15万円の場合は、毎月5万円であれば地代家賃として経費を計上できます。

【自宅が持ち家の場合】

社長が自宅を購入している場合、家賃は社長の不動産所得となるので、確定申告する必要があります。

「確定申告するのは大変」と思われる方もいるかもしれませんが、個人の収入に対して課される所得税は、収入に応じて税率が異なります。

会社が地代家賃として計上する金額ですが、場所によって地価が異なります。

近隣の賃貸相場をインターネットなどで調べ、自宅全体を借りる場合の相場を換算します。自宅が賃貸の場合と同様、その相場に対して、会社が使用している部屋の面積割合に応じた金額を地代家賃として経費に計上します。

ひと月の家賃が5万円程度だとしても、年間では60万円になります。期中に利益が予想以上に出る可能性がみえてきた場合には、ぜひ、この節税方法を使ってみてください。

ただし、社長個人が住宅ローン控除の適用を受けている場合は注意が必要です。

事業割合が2分の1以上になると、住宅ローン控除が受けられなくなったり、事業割合に応じて住宅ローン控除が減ってしまいます。

なお、事業割合が10%以下の場合、住宅ローン控除を全額受けることができます。

社長個人の車を会社に貸す契約をする

社長個人の車も契約書を交わすことで一部を経費にできます。

たとえば、社長個人の車を会社の事業用として使用していたとしましょう。

最近のレンタカーだと、車種にもよりますが、1日5000円前後が相場です。

週に2~3回くらい、社長個人の車を会社のために使用する場合は、月3万円程度を計上できます。事業割合に応じてガソリン代や車両整備費用、修繕費も計上できます。

たとえば、ガソリン代がひと月2万円で1年間24万円、車両点検と修繕費が10万円で合計34万円かかったとします。週に2~3回の使用頻度で、事業割合を3割として計算すると10万円以上を車両経費として、また、月3万円で1年間36万円を賃借料として、合計46万円以上の利益を圧縮できます。

この場合も社長の持ち家を会社に賃貸しているときと同様に、確定申告が必要です。

節税できる契約書のつくり方・結び方

なお、これらの契約書は、細かく規定したものである必要はありません。

「貸主と借主の氏名」「住所」「契約期間」「賃貸料」「契約物件用途」などを記載しておけば十分です。契約書を2通作成し、社長と会社が1通ずつ保管するようにしてください。

相続・事業承継コラム