葬儀が終わったら相続の相談を行う。では、葬儀ってどのように行うの?

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葬儀が終わったら相続の相談を行う。では、葬儀ってどのように行うの?

相続は被相続人が逝去された時点で開始されます。

相続の諸手続きについては、葬儀が終わった後に関係者と相談しながらやっていくという場合がほとんどです。
では葬儀はどのように行えばよいのでしょうか。
次のような不安・疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

葬儀の費用は相続人が払うことになるのか?
相続遺産は葬儀の費用として使えるのか?

本記事では上記のような点について解説していきます。

葬儀の費用などを巡って、後々トラブルに発展することもあります。
トラブルを回避するためにも、葬儀と相続に関する知識を得ておくことが求められます。

■葬儀の費用

葬儀と相続を考える上で、やはり費用は気になります。

「葬儀の費用を誰が、どのようにして支払うのか」を確認しておくことは重要です。

葬儀費用と相続についてみていきます。

●相続人は葬儀費用を支払わなくてもよい

葬儀の費用は誰が支払うものなのでしょうか。
法律などで明確に決まっているわけではありませんが、多くの場合で主催者(喪主)が支払うことになります。
相続人だからといって葬儀の費用を必ず出さなければならない、というわけではありません。

なぜなら相続財産の対象となるのは生前の財産・負債だからです。
当然ですが、葬儀は被相続人が逝去されてから行うものであり、そこで発生する費用は相続財産とは別物です。

喪主が相続人ではない場合であっても葬儀費用を負担するケースがあります。

喪主をどなたが務めるかは様々ですが、故人様の長男・長女が務めることが多くなっています。

●相続財産を葬儀に使う場合

葬儀費用と相続財産は関係ない、と述べましたが相続する財産を葬儀費用に充てたいという方もいらっしゃるかと思われます。
その場合はどうすればよいのでしょうか。

まず相続手続きをする前に相続財産を得ることは基本的にできません。
多くの金融機関において、故人様が逝去されてすぐに口座が凍結されてしまうからです。
相続財産を取得するためには、相続の手続きを行ってから最短でも1週間は待たなければなりません。
凍結された口座を解除することもできますが、やはり時間がかかります。

ではどうすればよいのか。
被相続人が逝去される前に葬儀に使用する費用を口座から引き出しておけばよいのです。

こうすれば相続財産から葬儀費用を捻出できます。

ただしこの行為は法定単純承認とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
民法921条の第1項には下記のようにあります。


第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。

引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#3944

法定単純承認とは、相続財産を引き継ぐものとみなされ、相続放棄ができなくなることです。

相続財産を使うと、民法921条の1の要件を満たしたとされることがあるのです。

あくまで可能性があるだけで、相続遺産から葬儀費用を支払うと100%相続放棄の権利を失う、という訳でありません。
しかし、極端に豪華な葬儀を執り行い、相当な金額を相続財産から支払った場合は相続放棄の権利を失う可能性があります。

●葬儀費用まとめ

葬儀費用はトラブルへと発展する要因になりがちです。
喪主としては大きな経済的な負担がかかりますから、相続財産を使う必要が出てきます。
相続とは関係ありませんが、喪主には葬儀の準備をしなければならないという負担もあります。
一方、喪主ではない他の相続人としては、葬儀費用がかなり高かった場合、相続財産が減りますから良い話ではありません。

葬儀費用が高すぎると、「葬儀にかかった費用がいくらだったのか」と他の相続人から確認されることもあります。
葬儀に関する相談を事前にしておき、念のため葬儀費用に関する記録(領収証や明細など)は保管しておくことをおすすめします。

また以下のことについても事前に確認しておくことで、トラブルを回避できます。

誰が喪主を務めるのか、葬儀費用を誰がどのように捻出するのか、相続手続きが完了するまで相続財産の管理をどうするのか、などいったことを被相続人が逝去される前に話し合っておくことが重要です。

■香典と相続

香典とは、葬儀の時に参列者からいただく金品のことです。
香典は基本的に、ご遺族様の負担ー特に喪主の負担-を軽減するためのものです。

葬儀費用と同様、香典も故人様が逝去された後に発生するお金ですから、基本的には相続とは関係がなく、相続税も発生しません。

香典を葬儀費用として使うことが一般的ではありますが、他の相続人に確認を取らずに香典を使うことはおすすめできません。
香典だけでは葬儀費用を支払えなかった時、残額の支払いを巡ってトラブルとなることもあるからです。

また葬儀にかかった金額よりも多くの香典をいただくこともあります。
その場合もやはり「香典の残額をどうするか」を巡ってトラブルとなることもあります。
喪主が残額を取得するか、相続人が分割して取得するのか、明確な取り決めがないのです。

こちらの点についても事前に相談しておくと、トラブルを回避できます。

■まとめ

葬儀費用や香典など、葬儀で発生するお金は被相続人が逝去されたあとのものであるため、相続財産の対象ではないことを確認しました。
葬儀費用や香典は負債・財産として相続するものではありません。

ただし、葬儀にあたって相続財産を捻出する場合や香典の金額が大きかった場合、トラブルに発展してしまうことがあります。

重要なのは、葬儀に関する相談を事前にしておくことです。
この記事で触れた確認すべき事項は次の5点です。

①喪主を誰がつとめるか
②葬儀費用の金額
③葬儀費用の支払い方
④相続財産の管理
⑤香典の扱い

葬儀は故人様とのお別れを告げる場所です。
余計なトラブルを生まないためにも以上の5点を事前に協議することをおすすめします。

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