相続税と贈与税の違いは?相続前か相続後かで変わる税金の種類。

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相続税と贈与税の違いは?相続前か相続後かで変わる税金の種類。

相続税や贈与税という言葉はお聞きになられたことがある方も多いかと思います。では、それらはどのような違いがあるのでしょうか。相続税、贈与税についてそれぞれ説明していきます。

説明をするにあたって、いくつかの言葉の意味を確認しておきたいと思います。
まず、相続に際して、亡くなられた方を「被相続人」、相続財産を受けとる人のことを「相続人」といいます。
民法には、「法定相続人」という、誰が相続人となるかについての定めがあり、これを基準に考えた「相続人となるべき人」を法定相続人といいます。
また、「遺贈」というのは、遺言によって財産を譲渡したり、贈与をした者の死亡によって効力を生ずる贈与のことをとをいいます。

■相続税

●相続税とは?

相続税とは、被相続人の財産を相続や遺贈によって取得した相続人に対して、課される税のことをいいます。その税額は、取得した財産の価額をもとに算出されます。

●相続税の機能

相続税は、被相続人が生前に受けた税制上の特典や、その他の要素による負担の軽減によって貯めた財産を清算するという、所得税の補完機能があります。

●相続税の課税方式

日本の相続税の課税方式は、主に遺産取得課税方式という方式が用いられています。
各相続人が相続や遺贈によって取得した財産の合計を、いったん法定相続分で分割した者と仮定して相続税の総額を算出し、それを実際の遺産の取得額に応じて分けるという計算の仕方をします。

■贈与税

●贈与税とは?

贈与税は、ある人からの贈与によって財産を取得した者に課される税のことをいいます。その税額、取得した財産の価額をもとに算出されます。

●贈与税の機能

相続や遺贈によって財産を取得した場合には相続税が課されます。ただ、これでは、被相続人が生前に、このままいくと相続人となって財産を取得することになりそうな人たちに「贈与」してしまうと、相続税が課されないということになってしまいかねません。そこで、生前の贈与には贈与税を課すこととなっています。このように贈与税には、相続税の補完的な機能があります。

●贈与税の課税方式

既に述べたように、贈与税は相続税の補完的な機能であるため、贈与税の課税方式も相続税の課税方式に準じて決まることとなります。相続税の課税方式は「遺産取得課税方式」であるため、贈与税も「受贈者課税方式」になります。

簡単に、相続税と贈与税について、それぞれの基本的なことを確認しました。
では、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

■基礎控除額

相続税と贈与税には、基礎控除額の点で違いがあります。
相続税の基礎控除額は、次のような基準で算定します。
3000万円+(600万円×法定相続人の数)
一方で、贈与税については、次のような基準が定められています。
受贈者1人につき1年間 110万円
なお、贈与税については、相続時精算課税の適用を受ける場合、基礎控除に代えて特別控除額(最大2500万円)を控除することになります。

■税率

相続税については
最低税率…1000万円以下(10%)
最高税率…6億円超(55%)
となっています。
贈与税については
最低税率…200万円以下(10%)
最高税率…3000万円(55%)
となっています。

■申告

相続税については、相続や遺贈によって取得した財産の課税価額の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合に、納付するべき相続税額が算出される場合に、申告書を提出しなければなりません。その期限は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内となっています。申告書は、申告者の納税地の所轄税務署長に提出します。

贈与税については、その年の分の贈与税の課税価額について、110万円の基礎控除額を控除し、贈与税率を適用して算出した税額から在外財産に対するそうよ税額の控除をしても、納付するべき贈与税額がある場合、相続時精算課税の適用を受ける財産を取得した場合に申告書を提出しなければなりません。申告書の提出期限は、贈与によって財産を取得した年の翌年2月1日から3月15日となっています。申告書は、申告者の納税地の所轄税務署長に提出します。

相続税と贈与税は、似ている部分もありますが、このような違いも存在します。

相続・事業承継コラム