不動産の相続。どのように進めるの?

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不動産の相続。どのように進めるの?

相続は人の死によって発生します(民法882条)。そのため相続人となるものは突然に相続人という法律上の地位に立たされることになります。そのため、相続人となった場合にどのような手続きをとるべきか。ということを適切に理解することが相続トラブルを防止する一つの手段ともなり得ます。特に被相続人の住居など不動産についての相続は財産価値が大きく、親族間での利害関係の対立が表れやすいため必要な手続きについて知っておくことが特に重要です。

まず、被相続人が死亡した場合には死亡届を7日以内に市区町村の役所に提出することが必要となります。また、被相続人が遺言書を残していないか確認することも必要です。
不動産相続をする場合は相続財産となる不動産の範囲の確定をすることが必要です。不動産財産の確定には不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書等の各種書類が必要です。相続人となる者は不動産相続をするために戸籍謄本、印鑑証明書、住民票などの書類を準備する必要があります。
このように不動産相続のためには必要書類の収集をしなければなりません。そしてこのような書類を揃えることができたら相続不動産の登記人名義を変更する申請を法務局に行います。不動産登記変更にも書類が別途必要となる場合がありますのでこれについては法務局のホームページ等で確認することをお勧めします。

不動産相続に伴って発生するものは税金です。もっとも代表的な税金は相続税です。いくら発生するのかについては国税庁のホームページ等を参考に算定することをお勧めします。また不動産を取得した場合には別途、登録免許税という税金がかかります。登録免許税は登記をする際に必要となる税金で納税対象者や税率等については登録免許税法によって規律されています。登録免許税が発生する相続登記の申請手続きは専門的な知識を必要とする場合が少なくありません。そのため、専門家に申請手続きを依頼することが一般的です。
また、相続税の算定についても税理士等の専門家に相談することをお勧めします。税理士によって相続税に差が出ることもありますので相続税専門の税理士に相談する方が最小限の税金で抑えることが可能となると思われます。

不動産相続の相続人は複数人存在する場合、遺産分割が問題となります。遺産分割とは、相続人間で相続財産の分配を行うための話し合いのことを言います(もっとも、被相続人は不動産相続について遺言を残している場合には遺産分割は行う必要がない場合が多いです)。
ここで、不動産は現金と異なり単純に分割することができません。そのため、不動産の分割方法として現物分割、代償分割、換価分割、共有の4形態の分割方法があります。

まず現物分割とは、相続財産を現物のまま分割する方法です。現物分割は複数の不動産がある場合や不動産の他に財産がある場合には簡易な手続きで相続が可能となる点でメリットがあります。しかし、不動産は価値の高い財産であるため不動産以外の財産を得た相続人との不平等や複数の不動産がある場合には各不動産の価値の不平等の問題が生じることがあります。そのため、不動産しか相続財産がない場合には相続人間で平等な財産の分配が難しいことが多いため、現物分割はあまり良い方法でないと思われます。

次に代償分割とは、複数の相続人の一部が不動産を相続し、不動産を相続しなかった他の相続人に代償金を支払うことによって相続人間の平等を図るという分割方法です。この分割方法は不動産しか相続財産がない場合でも不動産の他に相続財産がある場合でも相続人間の平等を図ることができる点、不動産を残すことができる点でメリットがあります。もっとも不動産を相続する者が代償金を支払うことができない場合には利用することができません。また、代償金の金額の決定について相続人間で利害関係の対立が発生し、トラブルの原因となることもあり、この点にデメリットがあります。

換価分割とは土地を売却し、売却によって得られた現金を相続人間で平等に分配する方法です。不動産を利用する相続人がいない場合にはとり得る分割手段の一つです。もっとも、不動産を残すことができない分割方法であるため、換価分割の検討の際には不動産の利用の有無等について検討した上で重要な財産である不動産を手放すか否かという慎重な判断をすることが必要です。

最後に共有は不動産を相続人の共有状態とする方法です。この点相続時においては共有によって平等が図れますし、トラブルになることは少ないと思われます。もっとも、不動産を処分する場合、すなわち、第三者に売却するような場合には共有の場合、共有者全員の同意が必要となります。そのため、不動産の処分について意見が分かれトラブルとなってしまうことも想定しておくことが大切です。

不動産相続は一度手続きを完了してしまうとその後の変更が非常に困難となってしまいます。土地の価格は変動するため例えば一方の相続人が相続した不動産は土地価格が高騰したのに対し他方の相続人の相続不動産は格が低落してしまい結果として不動産相続の不平等が生じ、トラブルとなってしまう場合もあります。そのため、不動産相続は土地価格の変動を念頭において相続人同士が互いに納得した上で合意をすることで不動産相続の問題を事前に予防することが可能となります。
また、不動産を相続したのち相続の翌年から固定資産税がかかります。固定資産税を支払う経済力を持ち合わせているのかといった検討も分割協議をする場合には必要です。

不動産相続問題をはじめとした相続問題は親族間の対立を発生させてしまうことが多いです。相続後も継続する親族関係の悪化は望ましくありません。不動産相続トラブルが発生した場合にはなるべく早めに弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

相続・事業承継コラム